湯本香樹実  

  「ポプラの秋」と「夏の庭」を読ませていただきました。
夏の庭はすっごく有名ですかね。映画化され、舞台化され、私も映画を見ました。 なんとおじいちゃん役が、三国連太郎さん(釣りバカ日誌の社長さん役の方)なんですよ。 たまげました、役にハマりすぎてて。
私はこの作品を読んで、主人公の3人とおじいちゃんに出会い、 これまで自分にひっかかっていた後ろめたさとか、暗い部分が何か溶けたような気がしました。

私は15歳のときにはじめてこの夏の庭を読んだのですが、その頃の私は自分にまつわるあらゆるものを 変えなければ、変わらなければと、思っていました。 今の自分に満足していないとか、そういう理由によってではなくて、うまくいかないことを 改善するためには自分が変わらなければいけないんだと考えていたんです。変わることと成長は、 いつか必要となるものなのでしょう。だけど私の方法は少し強引で、無理があったのです。
私は、自分をもっと違うものに入れ替えたいと思っていたから。 残すものと変えるものを選びたかったんです。そんなことをしても意味がないなんて気づかないで。 そんな時にこの本を見つけたんです。 読んだときの感覚は、なんか、昔よく食べたお菓子を久しぶりに食べて、 何でこんなにおいしいものを今までずっと忘れてたんだろうって感じでした。
私は、他の人たちと違わずいろんなことを忘れてたんだなって思いました。自分のことなんか、 つくろわなくてもよかったのに。
みんなに読んでもらいたい。夏の庭とポプラの秋、おすすめです。

「夏の庭」 日本児童文学者協会新人賞、児童文芸新人賞、米国バチェルダー賞、 ボストン・グローブ=ホーン・ブック賞を受賞。

ポプラの秋
1994/03
cover
春のオルガン
1995/02
cover
夏の庭−The friends−
1997/06
cover
西日の町
2002/09
cover

  gallery
55 STREET / 0574 W.S.R / STRAWBERRY7 / アレコレネット / モノショップ / ミツケルドット